「何を食べるか」の、もう一歩先へ
これまでのシリーズで、カロリーの収支やPFCバランスについてお伝えしてきました。 今回はもう一歩踏み込んで、その栄養素が体の中でどう運ばれ、どう使われているかに注目します。
口から入った食べ物は、消化・吸収されると血液の中に溶け込みます。 アミノ酸、糖、脂質、ビタミン、ミネラル。これらの栄養成分は血液に乗って、全身の細胞へと運ばれていきます。 つまり血液は、体という工場に部品を届ける「運搬システム」なのです。
この運搬の仕組みを理解すると、「なぜドカ食いがダメなのか」「なぜタンパク質を一度にまとめて摂ってもムダになるのか」が すっきり腑に落ちます。今日はあなたの体内の工場を、一緒に見学していきましょう。
血液は、部品を運ぶベルトコンベアー
あなたの体を、製品をつくる工場だと想像してみてください。 筋肉や臓器、皮膚や髪。これらはすべて、工場が日々つくり続けている「製品」です。 その製品をつくるには、材料となる「部品」が必要です。
この部品こそ、食事から摂る栄養素です。そして、その部品を工場の各ラインへ運んでいるのが 血液というベルトコンベアーです。コンベアーの上に適切な量の部品が 一定のペースで流れている状態が、工場が一番スムーズに動く理想形です。
理想は「一定のペースで流れ続けている」状態
コンベアーの上を、部品が途切れず・あふれず、ちょうどいい量で流れている。 この状態なら、工場は材料に困ることも、余らせることもなく、淡々と製品をつくり続けられます。 体で言えば、筋肉の修復も、日々の活動も、滞りなく回っている理想的な状態です。
部品が適量ずつ、絶え間なく流れている。工場は材料に困らず、ムダも出ない。これが体づくりの理想形です。
部品が足りないと、
体は「分解」して部品を作る
では、コンベアーに流れる部品が足りなくなったら、どうなるでしょうか。 工場は製品をつくるのを簡単には止められません。そこで、すでにある製品を壊して、部品に戻そうとします。
体の中でこれにあたるのが筋分解(きんぶんかい)です。 血液中のアミノ酸(タンパク質の部品)が不足すると、体は自分の筋肉を分解して アミノ酸を取り出し、必要な場所へ回そうとします。 せっかくトレーニングで育てた筋肉が、材料不足のせいで削られてしまうのです。
部品が足りず、工場は既存の製品(筋肉)を壊して材料を確保。これが筋分解です。
ここで大切なのが、「どの部品が足りないか」で分解されるものが変わるという点です。 不足した部品の種類によって、工場が何を壊して材料を確保するかが決まります。
タンパク質(アミノ酸)が不足すると、筋肉が分解されます(筋分解)。 これは避けたい分解です。一方で、炭水化物や脂質が不足すると、体は蓄えていた脂肪を分解して エネルギーを取り出します。これはまさに減量で起こってほしい「脂肪分解」です。
つまり減量とは、タンパク質はしっかり流し続けて筋肉を守りながら、 炭水化物・脂質をコントロールして脂肪を分解させること。 「すべての部品を一律に減らす」のではなく、「守る部品」と「あえて減らす部品」を 分けて考えることが、筋肉を残して脂肪だけを落とすカギになります。
部品が多すぎると、
余りは「備蓄」されるか「ゴミ」になる
逆に、一度に大量の部品をコンベアーに流し込んだらどうなるでしょうか。 工場が一度に使える部品の量には限りがあります。使いきれなかった部品は、どこかへ片付けるしかありません。
余った部品の行き先は2つです。ひとつは備蓄倉庫に溜め込むこと。 これが体脂肪の増加です。エネルギーとして使いきれなかった糖や脂質は、脂肪として蓄えられます。 もうひとつはゴミとして体外へ排出されること。 せっかく摂った栄養が、使われないまま捨てられてしまうのです。
使いきれない部品は備蓄(脂肪)になるか、ゴミとして排出される。ドカ食いがムダと脂肪を生む理由です。
だから、「1日を通して」バランスよく
ここまでで、コンベアーの部品は「足りなくてもダメ、多すぎてもダメ」だとわかりました。 つまり大切なのは、一定のペースで、適量の部品を流し続けることです。 これが今回いちばんお伝えしたいポイントです。
「タンパク質を朝に体重の2倍まとめて」ではダメ
よくある誤解が、「1日に必要なタンパク質を、朝に一度でまとめて摂ればいい」という考え方です。 たとえば体重70kgの人が必要量を朝食で一気に摂ろうとしても、 体が一度に処理・利用できるタンパク質の量には上限があります。 上限を超えた分は、先ほどの「余った部品」と同じで、備蓄やゴミになってしまいます。
タンパク質に限らず、糖質も脂質もビタミンもミネラルも同じです。 コンベアーは1日中動き続けています。だからこそ、朝・昼・夜と分けて、 そのつど適量の部品を補給することで、工場はずっとスムーズに動き続けられます。
朝・昼・夜と分けて補給すれば、1日中コンベアーが途切れず、ムダも筋分解も起きにくい。
今日からできる、4つの実践ポイント
タンパク質を毎食に分けて摂る
1日の必要量を、朝・昼・夜の3回以上に分散させましょう。 1食あたり手のひら1枚分くらいのタンパク質(肉・魚・卵・大豆など)を目安にすると、 コンベアーにアミノ酸を切らさず流し続けられます。間食にプロテインやゆで卵を足すのも有効です。
食事を抜かない・長時間の空腹を作らない
忙しくても、食事を完全に抜くのは避けましょう。 長時間コンベアーが空っぽになると、筋分解が進みやすくなります。 どうしても時間がないときは、おにぎりやプロテイン、ナッツなど、 少量でもいいので部品を補給しておくことが大切です。
ドカ食い・まとめ食いをしない
「昼を抜いたから夜にたくさん食べる」は、コンベアーを一気にあふれさせる行為です。 使いきれない部品は脂肪として備蓄されるか、ムダに排出されるだけ。 1回の食事量を適量に抑え、回数で必要量を満たす意識を持ちましょう。
タンパク質だけでなく、全栄養素をバランスよく
部品はアミノ酸だけではありません。糖質・脂質・ビタミン・ミネラルも、 それぞれが製品づくりに欠かせない部品です。どれか1つだけを大量に流しても、 他の部品が足りなければ工場は動けません。 「タンパク質さえ摂れば」ではなく、1日を通してすべての栄養素をバランスよく届けることを意識しましょう。
大切なのは「量」ではなく、
「流し続けること」
体づくりは、一度にたくさん食べれば進むものではありません。 あなたの体という工場は、24時間休まず動いています。 その工場に、部品を切らさず・あふれさせず、一定のペースで届け続けること。 それが、筋肉を守り、脂肪を溜めずに、理想の体へ近づく一番の近道です。
血液というコンベアーをイメージするだけで、毎日の食事の選び方・タイミングが変わってきます。 ぜひ今日の食事から、「今、コンベアーに部品はちゃんと流れているかな?」と 考えてみてください。
- 血液は栄養という部品を運ぶ「ベルトコンベアー」
- タンパク質が足りないと筋肉が分解される(避けたい筋分解)
- 炭水化物・脂質が足りないと脂肪が分解される(減量で起こってほしい変化)
- 部品が多すぎると、脂肪として備蓄されるかムダに排出される
- 減量はタンパク質を守りつつ、炭水化物・脂質で収支を調整すること
- 1日を通して、必要な栄養素をバランスよく流し続けることが理想
私たちVOLIXは、あなたが正しい知識で体づくりを進められるよう、全力でサポートします。 まずは次の食事から、「分けて、切らさず、あふれさせず」を意識してみてください。